僕自身、戦争に対する肯定感はまったく無く、ただ道具としてのミルスペックな物に対しての興味は、その機能美に引かれているからに過ぎない。

特にヴィンテージな物たちには、その時代の叡智が集約されているから魅力を感じているのだと思う。

そもそも腕時計の進化は、20世紀初頭の第一次世界大戦時ごろとされていると聞いたことがある。19世紀末の戦場で、兵器の進化とともに複雑になっていく作戦を遂行するために「時間」の重要性が高まり、部隊や兵が正確な時間を共有する必要が生まれてきた。当時のドイツ帝国海軍士官が懐中時計を持ちながら射撃を指揮していたが、腕に懐中時計をくくりつけた方が効率良いことを見つけたという逸話。その後、1902年にオメガが出した広告には腕時計をつけたイギリス将校が登場、徐々に上官から兵士たちの間に腕時計は普及したという。

30から34ミリ径への背景

腕時計の大径化は大英帝国イギリス軍が早かった。1940年前半にスイスの時計メーカーにイギリス軍が発注し支給され始めたミリタリーウォッチは30ミリ前後の小さめの直径、しかし1945年にはより視覚性を向上させたスペックを求めた英国でダーティダズンが登場し直径は34ミリに拡大。その一方でアメリカは1950年代まで、BULOVAやELGIN、HAMILTONのアメリカ時計メーカーは30ミリ径の生産を続けた。やがて、やっと60年代に入ってHAMILTONやBENRUSが34ミリのW113で大経化していった、この10年のブランクはなんだったんだろうと、酒を呑みながら思った。

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